その5

第3日
大徳寺ツアー

大徳寺拝観ツアー by 新井

 三月十一日の地震からひと月以上経ち、大徳寺にお拝りした日からは三週が過ぎて行きました。
原発は相変わらず抜き差しならない状態が続いていますが、歴史の風雪をものともしなかた堂々たる
山門の面持ちを思い出しながら平常の生活を楽しんでいる現在の私です。

 武藤和尚さんには、十八年前にも大徳寺にお連れいただきました。

又、母の戒名のことで御相談したことがありました。とても納得の行く説明に心が晴れ晴れとしたことを
憶えています。今回もすっかりお世話になり、奥さまにもお会いできたので、先日お礼状を出したのです。
それにお返事メールをいただきました。「レポートを書きなさい」と宿題が出ました。劣等生のレポートも
あった方がいいかと思い書きはじめたのです。

 実は事前の学習を少しやってみたのですが、「あら、こんなところに行ったのかしら」と実に頼りない記憶
でした。

 紫野高校グランド脇の石畳の坂道を孤篷庵に向って登っていく時、Yちゃんが「勉強してこなかったけど
大丈夫かな」など言いました。そこですかさず「感覚派の私たちです。それなりに感じます。意義深いはず。」
と私。門のところに立っても記憶が呼び戻せなかったのですが、お茶室やお庭を見るうちに思い出してきました。
十八年前は、二月に訪れたので寒さが厳しく一〜二歩歩いたら足が氷のようになりました。廊下の漆黒の
分厚い板に全ての熱を奪われるようでした。雪もよいの日で、少し濡れた足をタオルハンカチで拭いたのを
憶えています。御一緒したYSさんが、後々「新井さんがタオルハンカチでさっと足をぬぐったのが印象的
だった」と言うのですが、、、。 今回は晴天の下、日なたの廊下は暖かく、足が暖まり、先人達の簡素で
心ある日々の幸せを感じることができました。

 この後、利休ゆかりの聚光院に向うのですが、途中で、和尚さんが修業された総見院(ムー注:僧堂、龍翔寺)
の前で修業中のお話を伺いました。朝食の話になった時、お医者様のN氏が「もらってきたもので作るとや?」
と言われて、皆さんどっと笑ったのですが、私は托鉢のことだとすぐわかりました。

 聚光院は我々のような特別拝観の者たちのために建物の玄関部分にトイレや荷物置を作って新しくして
ありました。(ムー注:たしかに18年前はありませんでした。結構記憶力あるじゃない?) この新しい廊下も
やがて時と共に漆黒になっていくのだろうか思ったりしました。お参りし、重文の襖絵などを見せていただいて
から、利休さんのお墓参りもしました。表千家の茶道にいそしまれているというD氏はとても熱心に確認して
おられました。

 この後は庫院(ムー注:本坊)に入り、かまどを見たり、唐門前で写真をとったりしました。

 さて十八年前もそうでしたが、何と言ってもこのツアーの圧巻は山門に登って利休さまの木像を観ることです。
和尚さまが鍵を借りてきて苦労しながら (ムー注:いつもは誰かついてきて開けてくれるのですが、今回はお昼
の休憩時間の為、勝手にやってくれと鍵を投げ渡しで貸され、本来の錠前でないところに取り組むという徒労を
いたし、皆さんを長い間待たせてしまい申しわけないことでした。) 
開けて下さいました。

十八年前にもこんな急なはしごを上ったのでしょうか。急なはしごを上へ上へと登りました。そうして登ったところが
きれいに整然となっていて驚きました。以前来た時は、物置に忘れられたかのように利休さんの像がポツンと
置いてあったのです。今回は像は箱のようなものの中にしっかりと収められていました。暗くて見えにくくなって
いました。 ちょっと残念な気がしたものです。恋人に会いに行ったのにちらとしか会えなかった時みたいでした。

 「泉仙」の昼食はおいしかったです。器が入れ子になっていて、私は完食したのできれいに収めることが
できました。色とりどりの器もいいけど、この簡素に片付く美しさに感動しました。

 最後の養徳院の方丈様はやさしい素敵な方でした。和尚さまと親しいのですね。仏様の居られる床の間
(ムー注:須弥壇と申します) の下部に八十才になられた細工師の方が (ムー注:有名な方です)螺鈿の
引き戸を寄贈されたそうです。観せていただきましたが、すばらしいものでした。 光り輝いていました。
お庭を見ながらお茶とお菓子をごちそうになりました。山や川に見立てられた佇まいが静かに語りかけて来る
ようで、はっきりと思い出した楓の木の幹がすっかり太くなっていました。十八年の時を深く感じたものです。

 帰りの時刻が気になり、あいさつもしないでお寺の外に走りました。
タクシーで京都駅まで行って、予定より早い新幹線で帰りました。それでも秩父着午後十時。
急行が動かない頃でした。

 感覚派の雑ぱくなるレポートお読みいただきありがとうございました。   新井真理子


さて、ここからは写真による思いで作りです

  

集合場所にぞくぞくと集まって来ます。伊達、船津両夫人  一人で集合場所へ急ぐのは天野夫人



井上夫人、一人置いて垂水夫人(旦那さまたちはゴルフへ)


今日のツアーを取り仕切ってくださる関西よいよい会の幹事は森脇さん


和尚より大徳寺拝観の諸注意あり



孤蓬庵まえにて、中は撮影禁止のため、ここで記念写真を

ここは小堀遠州作のお庭が素敵でした。
一つの庭が三方の部屋からそれぞれ別々に見える工夫が。



聚光院 ここも中は撮影禁止のため

ここは利休の墓があり、表・裏・武者小路の各千家の家元の墓所となっています。


利休の墓の前で 表千家のお茶を習っている黒宮 伊達、
左隣の墓は妻宗恩、そして右へ二代小庵の墓




いよいよ大徳寺本坊へ 庫裡前


本坊の方丈前の庭を座って鑑賞

  
お庭を中側から撮ると・・・          そして白砂の庭の向こうには国宝の唐門が

 唐門を外側から見たところ、


全員集合


ここから山門へと歩いていきます

山門に着いても、山門の楼上へと上がっていくにはこの急な階段を昇らないと、
上を見る余裕などなし


如何に急な階段かが分かりますか?

  
山門の上にこれだけの仏様が安置されており、天井には極彩色の龍の絵が描かれています。



大徳寺の各塔頭の茶室に、庭園に、仏様に圧倒されたら、
腹ごしらえで対抗しないと・・・泉仙にて





精進料理でお腹はいっぱいになりました

さて最終コースの養徳院へ


迫力たっぷりの襖絵

  
鳳凰がお出迎え

 




全員集合


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